ひばりの階段

 

こんばんは、店主の鎌塚です。

 

先日、70歳の女性の方が2階にあるシングルルームに5泊してくださいました。

 

その女性はアメリカ在住の日本人の方で、ご主人はいるけど「ひとりで気ままに旅する時間が必要なの。」という方で

いくつになっても若々しく、すてきやなぁ。自分も70になってもこんな風に旅していたいなぁ、と思いながら、その方が宿で過ごされる様子をみていました。

 

ほとんどのことはなに不自由なく過ごされているようにみえましたが、唯一気になったのが「階段の上り降り」。

 

とてもお元気そうにみえてはいても、足腰はすこしわるくなられているようで、一段一段ゆっくり上がって、またしっかり手すりを握って降りていました。

 

その様子をみて、僕はこの階段をつくって本当によかったと思いました。

 

ひばりの階段は「一段の高さ:20cm、奥ゆき:23センチ」と京町家の階段としてはだいぶ緩めに設計しています。古い町家の階段は押入れのスペースをつかって取ってつけたような勾配のきついものが多く、ひばりの改修前の状態も非常に急で、せまく、上りにくい階段でした。

 

<改修前の階段。階段というよりはしご。上るという這い上がる。降りるというよりお、落ちるー!というような怖い階段でした。>

 

 

<現在のひばりの階段。勾配は緩く、さらに足触りのいい「滑り止め」として名栗(なぐり)”風”に加工しています。>

 

 

 

 

ゆっくりでも、ちょっとしんどくても、自分の足で上る。自分の足で降りる。これはとても大事なことだと思います。

当たり前のことですが、体の使わない部分は衰えます。筋力はどんどん低下します。

 

歩くこと、自分の手足を動かすこと。いくつになっても健康で、旅を楽しみ、そして人生を楽しんでいくには、日々の心がけが大事なんやなぁとあらためて思いました。

 

足がわるくて2階に泊まるのはちょっと自信がない、という人も、ぜひトライしてみてください。

いいトレーニングになるように、できる限りサポートします。もちろん荷物の上げ下げもします。

 

シャワールームは1階のみですが、洗面台とトイレは2階にもありますので、お出かけの際、シャワーの際、あとキッチンをお使いになられたいとき以外は、階段を上り下りする必要はありません。

 

「だれでも、どこでも、いつまでも旅をし、豊かな人生を。」がひばりのスローガンです。

 

いくつになっても旅を楽しめる健康づくりに、一緒に取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひお気軽にご連絡くださいね!

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

緑のパワー

さてさて、改修も終盤。

内装は完成の姿が垣間見えるほどになってきた7月後半、遙々埼玉から庭のスペシャリストがやってきた!

たっくさんの木々と砂利とその他いろいろを載せたトラックに乗って。

庭師のたーくんとはご縁あってお庭をお任せすることになりました。

今まで「ここが庭でぇー…」とか考えてきたけど、実際にどんなふうになるのかは、想像力と庭の知識の乏しいわたしには想像がつかない。

それではまずはBeforeから。

こちらはスーペリアルーム専用の中庭。

埼玉よりやってきた木々はまだ鉢に入ったままで、庭は土をいれただけの状態。

真中にかまえる沓脱石(くつぬぎいし)は離れと母屋をつなぐ廊下の下に隠れていたものを解体中に発見。

男四人がかりで前庭へ移動し、再び沓脱石として活躍してもらっています。

こちらは前庭。

脚立と壁塗り用の土の樽などでかなりの現場感。殺風景であります。

真夏の京都の暑い中、限られた時間で造られていく庭。

木々たちも長いお引越しの後、新しい慣れない土地に植えられるのでまだまだよそよそしい。

これからここに根付いて季節を知らせてくれるのね。

前庭には秋をお知らせする紅葉がどーーーん!

紅葉は横に枝を伸ばしていくので、背の高い紅葉がほしい場合は初めから背の高い子を見つけて植えるしかないのだそう。

いつか前庭をこの子が覆うことになるのかしら。

前庭は和風にこだわらず、森っぽい、気取らない感じにお願いしていました。

木を選んでいただき、それらが植えられ、その足元には彩りを添える花と苔が植えられます。

焼き杉の茶色に緑が映える!

砂利を敷いて完成。

前庭は日の光もたっぷり入るので、今はこのときよりも苔が増えた気がします。

そして中庭。働く男たちの写真をお楽しみください。

お庭という要素が入ると、部屋の雰囲気が、もう全然違う。奥行きが増すといいますか。

ただ泊まるだけの部屋でなく、のんびりぼんやりと時間を楽しみ、季節と文化を愛でる空間へ。

緑のパワーはすさまじい。

 

これからこの子らの育ての親となる過程でも、ちょいちょい気軽に相談できる庭の魔術師たーくん。

ほんまにありがとうございました。そしてこれからもよろしくね。

汗と土と仲間たち

出来上がったスーペリアルームの壁と同じ材料で、受付やキッチンのある共有スペースを塗ります。

誰が?

わたしたちがー!

いわもと先生監修のもと、初心者用に塗りやすく配合し直してくれたはんだ土を塗っていきます。

石膏ボードの上に漆喰を一度、はんだ土を二度、計三度塗ります。

乾燥する前に塗らなければならないから、一気にやる。

塗るのが遅い初心者には大きなプレッシャーと焦り。

しかしやるしかないのだ。

 

まずは漆喰と格闘中のけいくん、土下座塗り。

わたしも塗りましたよーー。漆喰はするする軽くて生クリームみたいで楽しい。

今回の有難きお手伝いさまたち。

まずは楽座の頼れるスタッフ、ゆっきー。

壁塗り自体が初めての中、「難しいっすねーー!」て言いながらも楽しそうに塗り進めてくれましたよ。

大分進みましたね。

キッチン周りは比較的広い面なのでがんがん進められるけど、トイレ前の壁は小さい壁が連続する塗り進めにくい場所。

そこをこつこつ黙々とやってくれたのは、はるばる長崎から手伝いに来てくれたのりくん、現役大学生!

のりくんも初めての壁塗りで慣れない作業だったので、翌日は筋肉痛に襲われたそうな。

そしてお馴染み助っ人しょうちゃん。

スーペリアルーム前の細長い、とっても塗りにくい場所をじっくり塗ってもらいました。

個人的には、はんだ土は中塗り土よりも軽いのでこて板を持つ左手の負担が少ないし、思っていたよりも伸びが良くて塗りやすく、とっても楽しかった!

塗り進めるうちに、焦りやプレッシャーなんかよりも、目の前の壁を仕上げること、少しでも自分が納得できるように塗ることに集中していった気がします。

 

みんなの貴重な時間と労力をかけて出来上がった壁は、仕上がりこそ均一な美しさはないかもしれないけれど、優しくも力のある出来栄え。

そして何よりも、やりきった満足感。

お客様がひばりへ来てまず最初に向き合うことになる壁と空間。

あたたかくお迎えできそう。

末長く見守ってね。

それと、

長い時間、材料を準備したり難しいところに手を貸してくれたり、ときにアドバイスしてくれたり、裏方に徹しつつ見守ってくれたいわもと君、いつもありがとう。

見えない手間と知識

ひばりの中で一番広い部屋は一階にあるスーペリアルーム。

部屋の大きな窓から見える中庭を独り占めできるお部屋。(庭はまだできてないけど)

お庭は和風にしたいけれど、お部屋は和にこだわりすぎず、ぬくもりを感じられる内装にしたい。

そこでいわもと先生が提案したのは、漆喰と中塗り土を混ぜたはんだ土と言われるもの。

出来上がりは真っ白なかしこまった色でなく、土のどっしりした暗めの色でもない、両者を混ぜた生成りのような、アイボリーのような、あたたかみのある色。

表面はぽこぽこしていて藁の存在を感じられます。

とても素敵な出来上がりなのだけど、そのはんだ土を作るには相当な時間と手間がかかるのです。

漆喰を練り、中塗り土を練り、両者の配合を考えながらしっかり攪拌するよう少量ずつ混ぜ、割れ止めのためにあれを混ぜこれを混ぜ、乾燥しないようにああしてこうして…

あぁ、

壁はこんなんがいいーーー!て簡単に言うもんじゃないってわかりました。

左官は塗るのも技術だけど、材料をつくることも相当な技術と知識が必要なんですね。

心なしかやつれて疲れが見えます、いわもと君。

土を塗る前にスーペリアルームの床に油拭きをしてくれたのはしょうちゃん。

工具やら道具置場になっていた部屋の片づけをすると、広くきれいな空間が現れて、しばしその広さを堪能する彼女。

おもむろにひとり広い部屋の床を油拭く彼女。

 

この部屋は広い壁が二面あるので、暑くなってきた6月後半のこのころは、乾燥との戦い。

もたもたしていると塗ってるそばからどんどん乾燥していき、乾燥すればもう塗り直せない。

そんないろいろと格闘しながらも仕上げてもらった壁がこちら!

いいでしょう、素敵でしょう!

ぜひぜひ、直接見て触れて感じてみてくださいね。

足跡を辿れば

このころは、やるべきことがそれはもう、たーーーーくさん目の前にあって、溢れてて、

ちゃんと終わるのか?という不安と、

あとはどこをやればいいのか?という焦りと、

おぉ、出来てきた!という喜びとが、

いつも混ざり合い、忙しなくも充実した忙しい日々でした。

 

ひばりへの玄関までは、焼杉板で囲まれた路地のような、段差のないスロープができる予定。

スロープの土間コンクリート打ちはプロの左官屋さんにお願いしていますが、

何やらけいくんがひと手間加えたようで…

よおく見るとこれは…

ひばりちゃんの足跡ですな?

ぺたぺた母屋へ入っていくわけですな。

かわゆいじゃないの!

 

一方家の中では変わらずずんずん壁を仕上げていくいわもと先生。

こちらは階段上部。脚立の上でわりと高い位置なのにすいすいと。

助っ人しょうちゃん。

お風呂場のペンキ塗り中。今日はペンキ職人。

わたくしめはトイレの壁紙貼りに挑戦。難しかった!

一階のトイレは、一面だけ壁紙を貼り、残りの壁上半分と天井は土壁仕上げ。

タイルと壁紙と土壁で囲まれた空間は、子供部屋のような、いい意味でトイレっぽくない仕上がりがとてもお気に入りです。

こちらは黙々と確実に作業をこなす大工のいなださん(いなちゃん:仮称)。

不慣れな我々をいつも気遣ってくれて、優しくて、いつも助けてくれて、現場のお父さん的存在でした。

改修工事を始めた3月から6月まで、実に四か月の間、ほぼ毎日来てくれていたいなださんともお別れの日。

現場が進んだからこそお別れがあるわけで、いいことなんだけど、この後はいるべき人がいない寂しさを感じたものです。

改修はいよいよ後半戦。

一階のスーペリアルームとキッチン周辺の壁に取り掛かります。

1 / 3123