タイルに囲まれて

ひばりちゃんの改修は進み、先日できた出窓のある東側に塀を作っています。

塀で囲まれると、家感が増していく…!

周囲をぐるりと焼杉板に囲まれた渋い外観が作られます。

そんな中、我々は慣れないタイル貼りに勤しんでおりました。

まずは難関の一階トイレの床タイル。六角形と平行四辺形のタイルを組み合わせて模様を作るもの。

そんなややこしいタイルを選んだのはわたしであります。ごめんなさい!

しょうちゃんととりあえずは並べてみるものの、

端っこってどうすればいいの?てゆーかタイル足りなくない?並べ方これでいいの?便器のとこはどうすればいいの?

わからないことだらけでイライラする。

やる気はあるのに根気と地道さが足りないのか。

そこへ錺屋月屋女将のりょこさん&金魚家鯉屋女将のゆみちゃんという、神が現れた。

タイル貼りの一番時間がかかって地味だけど大切な作業が、タイルの割り付け。

どこにどのタイルを貼るか計算して割り振って、過不足のないように、かつ模様が乱れないように、下書きをしたりします。

そんな面倒な作業すら楽しみながらどんどんこなしていく改修慣れしたベテラン女将ズのおかげで、こーーーんなにキレイに貼れました!

うつくしい。。。

ボンドが乾いたらタイルとタイルの間の目地を埋めれば完成。

タイルを貼るにはいくつもの工程があることを知った日。

やってみないとわからないことだらけ。

けど、やってみたら意外に自分でもできるということが増えていく喜び、そして何よりも出来上がったものに対する愛着が半端ないのです。出来栄えは完璧じゃなくても。

これからトイレに行くたび、掃除をするたびにこの日をちらっと思い出すんだろうな。

 

同じく一階トイレの壁もタイルを貼ります。

こちら助っ人ちさちゃん。超真剣。

こちらは乾いた目地を拭きとる助っ人ゆっこちゃん。

全貌が見えるこの作業は楽しいのですが、拭いても拭いても目地の白い粉が浮き出てきてアリ地獄状態。

コツはスポンジに含ませる水をこまめに変えること、と気付いたのは後からだった。。。

 

二階のトイレも床と壁がタイル張り。

まずは床。緑鮮やかな三角形のタイルを貼って、目地埋めをしているところ。

助っ人あゆみちゃんはてぬぐい、マスクともんぺで完璧な作業スタイル。

ヤッケのひっかき傷みたいなボンド跡がまぶしい、助っ人しょうちゃん。

後半はボンド塗り職人として到る所でご活躍いただきました。

同じく二階の洗面台も天板はタイル張り。

こちらは大中小三種類の丸タイルがばらばらに入ったアウトレットのものだったので、面倒な割り付けはない分一個一個貼っていかなきゃいけなくて手がかかる。

時間がかかりそうだなと不安だったけど、あれ、もう終わりそう??おぉ、早い!

黙々作業を楽しみながらやってくれた女子たちよ、本当にありがとう。

最後の一個をはめたこのやりきった顔を見よ!

そして後日、助っ人ゆっこ&コスちゃんに目地埋めをしてもらって完成。

じゃじゃーーん!

結構な量のタイル貼りだったけど、たくさんの人の助けを借りて、思ったよりも早く終えられて、何より楽しかった。

どのタイルも、いまだに見つめてにやにやするかわいらしい子たちです。

 

おまけ。

女子がきゃっきゃとタイル張りに夢中なころ、ひとり黙々とトイレの壁を塗り続けた助っ人そうたくん。

彼の塗った壁の空間でやすらぎのトイレタイムをお過ごしください。

 

現場は進む

二階が徐々に出来上がっていくと同時に、一階も大工さんの手によって作り上げられていきます。

一階は床も天井も板を張り、壁は漆喰と土を混ぜたクリーム色の壁、受付やキッチンの天板も木製です。

受付の横には大きな窓のある出窓が作られて、窓の外には前庭が広がり、明るく爽やかな印象。

二階との違いを楽しんでいただけるかと。

と、言いつつも、まだ前の家の名残があり、木材や釘などの材料や工具がたくさん置いてあり、ブルーシートや石膏ボードで囲まれた空間は、工事現場でしかない。

こうなる予定だよ、といくら言われてもどうもピンとこない想像力の乏しさよ。。。

そんな中で照明器具やタイルを選ばなきゃいけないので、とっても悩み迷いました。

楽しい迷いだったけどね。

 

さて、そんな現場では、一日お休みすると何かがすでに出来上がっているというスピードでどんどん進んでいきます。

まずは外壁。古くなった杉板を剥がして、新しい焼杉板を張っていただきました。

見違えてぐっと渋さが増しました。同じ板がぱりっと整列していると、とても美しい。

またある日現場へ向かうと、一階の床板は張り終えていて、汚れないようにすでに養生されて見えず仕舞い。早い!

出来上がりを見るのは改修が終わった後で養生を取るときまでお預け。

そして天井。こんなとこにいったいどうやって板を張るのだ、と思ってたら事もなげにどんどん張られていき、たった二日で全部終わった。

ひゃー。

そしてまた別の日、数日前にはなかった受付とキッチンが姿を現した。

奥に見えるのがもとの玄関。ここは受付になり、この玄関部分には造り付けの棚ができる予定。

向かって左側にちらっと見えているのが出窓。

古建具屋で見つけてきた大き目の窓を取り付けてもらった愛らしい出窓を外から見た図。

この東側の面は解体後から壁が無く、ずっとブルーシートで覆われただけだったので、出窓ができて壁ができると、大分家らしくなって!すごいすごい!

 

わたしはと言うと、自分にできることをちょろちょろやっていました。

例えば、一階から二階への階段部分の壁の柿渋塗り。

柿渋は平安時代から使用されてきた日本固有の材料で防腐、防カビ作用があります。

地味ですけどね、そして独特の匂いがしますけどね、こういうの楽しくて好きなのですよ。

右上の一部分が柿渋を塗る前の状態。塗ると落ち着いた色合いでしょう?

大工さんが仕事を続ける中、次にわたしたちが手をつけたのはタイル張り。

その話はまた今度。

土の魔法

二階の廊下の壁と天井は土壁で覆われる予定。

天井板を取り払って梁を見せた高い天井までぐるりと土に囲まれた空間は、トンネルのような、洞窟のような、京都の路地のような、そんな面白い空間にしたい、といわもと先生。

その大変な壁塗りはいわもと先生にお任せなので、いいねいいねー!と呑気な私たち。

いや、ほんと、技術って、経験ってすごい。

壁塗りは楽しいけれど、ただ普通の壁だって素人では全然均等に塗れないし、土が乗ったこて板は重いし、塗り終わっても休む間もなく二度塗りしなきゃいけなかったりと、結構な労働。

だからみんなでやるとお祭りみたいな、学校祭準備のときのような、そんな楽しい時間になるのだけどね。

あんなに重くて、平らにしにくかった土と藁が混ざった材料が、岩本くんが塗るとまるでケーキのクリームみたいにするする伸びてく。

天井って塗りにくいはずなのに。すごーーーーい。ほんではやーーーーい。

洗面台の後ろには、瓦を一部分取り除いてガラス瓦をはめた明かりとりの窓があります。

その窓枠の部分も、慎重に、丁寧に、小さいこてを使ってきっちり仕上げます。

ただでさえ塗りにくいであろう天井は、高さもあるので足場も悪い。

洗面台の後ろ側には天井から床までの広い壁があります。

その壁も一気に仕上げます。まっすぐな壁だと余計にはやーーーい。

目の前できれいに仕上げられた塗りたての壁を触ってみたくなる欲求をこらえて、できました!

どどーーん。

何気なく当然のようにある壁にも、たくさんの時間と想いが詰まっています。

じっと見てそっと触ってみてくださいね。

愛すべき土壁

さてさて、話を改修記録に戻します。

二階の壁は廊下の天井を含め、客室、トイレも土壁を塗ります。

もともと土壁だった壁に再度新しい土を塗る際、まずは表面の古い土をこそげ落とします。

土埃が舞い、腕を上げっぱなしのなかなか地味なつらい作業。

助っ人ゆっこちゃん、しょうちゃんは職人のように黙々とこなしてくれました。

上の写真の左下、足元のところもそうですが、

ところどころ剥がれおちている部分や、強度が不足している部分には補修が必要。

これもまた地味な作業だけど、しっかりした下地を作らなければ、せっかく塗った壁も長くはもたないし、奇麗に塗りあがらない。基盤、大事。

こちらは設計と左官担当、建築士のいわもと君。彼の助言と指導のもと、どんどん進めます。

準備を整え、仲間たちの手を借りて、土壁塗り大会をしました。

手前はしょうちゃん、奥はゆっこちゃん。様になってるーーー!

わたくしも塗りました*

おなじみ錺屋月屋のりょこさん&日暮荘のやまちゃん。

りょこさん、土壁塗ってるだけなのにしなる身体が色っぽいですな。

やまちゃん、力強いですな。

この日のことをそれぞれブログ(錺屋はこちら、日暮荘はこちら)にも書いてくれています。ありがたやありがたや。。。

こちらは金魚家鯉屋のオーナーじゃんぼさん。脚立いらないんじゃないか説。

手間はたくさんかかるけど、藁と砂と土でできている土壁は自然素材オンリーで再利用も可能なスーパーエコな壁。

時間が経てば表情が変わり、塗り手によっても変わる柔軟な土は、人の手という必要不可欠な要素によって出来上がる、あたたかい素材。

みんなの気持ちがこもった壁のあるひばりちゃんが、これからいろんな人に愛されるといいな。

 

わいわいみんなで客室を塗っている間、外壁の漆喰を丁寧に仕上げていたいわもと先生。

さすがにうつくし。

こうやって二階の客室は個性あふれる壁がそれぞれ構えているわけですが、廊下は壁も天井もぐるりといわもと先生の手で塗られました。

その様子はまた次でご紹介。

オープニングパーティー!

そしてオープニングパーティー当日。

いろんな準備をしなきゃいけなくて焦るけれど、何とかなるだろ!とやけに余裕になったりで気持ちはふわふわしていました。

助っ人たちが周りに常にいてくれたから余裕だと勘違いしていたのでしょう。

お酒を飲んで祝うよりはゆっくり見学だけしたい、というひともいるだろうと思い、パーティーの前に3時間ほど内覧の時間を設けました。

おかげ様でたくさんの友人やお世話になっている方々に見ていただき、嬉しい言葉の数々をもらってほっとしたような、誇りに思うような、そんな気持ちでした。

自分たちの身内ではなく、改修工事にも関わっていない、一番お客さんに近いまっさらな目でそんなお褒めの言葉をいただくと、希望や自信が湧くものです。

そしてこのお祝いの数々!!withじゃんぼさん。

殺風景だった出窓が色とりどりに彩られました。植物があると空間が生き生きする。

そして夜のパーティーの部では、月屋スタッフのこすちゃんがたっくさんの愛にあふれるおばんざいをこしらえてくれました涙

けいくんの古巣のもと金魚家スタッフあいりーんも、立ち飲み屋あてやをオープンしたばかりなのに差し入れを持ってきてくれました。素敵なメッセージとともに。泣けるわ。。。

この盛り付けは女子助っ人たちにお任せ。女子は団結しつつ手際が良い。

夏ですからね、素麵もあるよ。

屋外のBBQ広場はさながらキャンプ場のような、自由でいい具合にばらけたゆるゆるした感じ。

しかし火の番は大変だったろうに、こっちも任せてしまった。ありがとう。

これはパーティーも終盤、おそらく午前1~2時。

久しぶりに会った人やいつも一緒にいるみんな、

改修でたっくさん迷惑をかけた工事関係の方などなど、

自分がこれまでいろんな形で出会って、関わって、それぞれの関係を築いてきた人たちが同じ場所に集まってくれることが、

不思議で、でも当然で、自分史の軌跡のようで、とても面白かった。

玄関に構えたこの巨大なお祝いは庭師のたーくんより。スケールでかいぜ。

たーくんの活躍はまた別のブログで。

 

たくさんのひとの手と気持ちが加わってできたひばりにふさわしい、にぎやかな、あたたかい夜でした。

ほんとうに、ありがとう。

これからもずっとずっとよろしくお願いします。

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