宿泊予約サイトAirbnbが先日、「障害者の方向けに21種類のフィルタリング(項目)」を追加しました。
記事「Airbnbが障害者向けに21種類のフィルタリングを追加 世界人口の約15%にあたる10億人が対象。」
ひばりは全21種類中17種類に対応していたため、あらたに情報を更新しました。
情報を更新しながら、あらためて「障害」ってその人の問題というよりは、環境の問題だなぁと感じました。
人が障害を「もっている」というより、環境に「もたされている」といってもいいかもしれません。
私自身旅行中に右膝を痛め、杖をついてヒーヒー言いながら旅行をしたことがあります。
そのときは自分に障害があるとは思わず、「なんだこのおしゃれな段差は!どうせ上がってから下がるのになんでこんなもんあるんだ?」と環境をうらんだりしました。しかも、こういうことは現場に行かなければわからないことが多い。なにからなにまで事前に確認しなきゃいけないのはとてもストレスフルだし、言語の違う外国となるとさらにハードルが上がります。これでは旅をする気になれなくなっても仕方ありません。
<美しい階段。でも手すりない。ゆるやかなだけましだけど、膝いたい。。。>
もちろん、なにもかも平坦ではつまらない景色になるし、空間を区切ること、起伏があることで陰影ができたりという考え方も、とても重要です。古きよき景観を守るのもとても大事。(単純に平坦だったらいいわけでもない。目の見えない人にとったら凹凸のない道は恐怖でしょう)
ただ重要だからこそ、美しいものだからこそ、等しくわかちあえるような配慮もデザインのなかに組み込まれてほしいと願わずにはいられません。それでこそパーフェクトなデザインと言えるのではないでしょうか。
「障害者」という言葉だって、社会や環境のシステムがちゃんと整っていれば「障害者」とわざわざ人として区別する必要もない。むしろ「場」に障害をつけて「障害場」とかにすればいい。
「ここは足がわるいひとや小さい子どものことを考えてない不配慮な場所ですよ」という看板やレッテルをつけられるのはみんなイヤだと思いますし、そうなればそれぞれ工夫していい環境をつくれるように自然と変わっていけるんじゃないかなぁと考えたりします。遺跡や寺院だって、アイデア次第でちょっとずつでも、よりよく変えられるはず。
今回私たちはこんな場所で「バリアフリー対応してますよ!」とアピールのようなことを言ってますが、本当はそんなアピールする必要のない社会であるのが理想です。私たちの存在が埋もれるような社会になればいい。そう思います。(じゃあ私たちの存在意義はなにになるのかって?そんなことは社会が変わってから考えます。)
このフィルタリングだって必要なくなればいいのになぁ、と思いながら入力しました。
でもいまは必要なものなので、詳しい内容を紹介します。
対応している設備内容は、以下の通りです。
<入室項目>
1.段差のないバリアフリー対応
2.間口の広い出入り口(玄関の間口は幅81cm以上)
3.玄関アプローチが平坦(玄関までの通路幅は81cm以上、平坦で傾斜はほとんどない)
4.玄関アプローチに照明あり
5.車いすマークの駐車場(幅2.5m以上の駐車場)
<ベッドルーム>
6.段差のないアクセス
7.寝室に広いスペースあり(81cm以上の空き)
8.幅の広い間口(寝室のドアは幅81cm以上)
9.車いすに移乗できる高さのベッド(床からマットレス上辺まで48~58cm)
<バスルーム>
10.段差のないアクセス
11.手すり付きのシャワーとトイレ
12.車いすから移乗できる高さのトイレ(便座の高さは床から43cm~48cm)
13.チェア付きのシャワールーム(シャワーまで床が平坦につながっており、シャワーベンチやチェアに移動できる)
14.シャワーとトイレに広いスペースあり(トイレもシャワーも、ドアから81cm以上の空きスペースあり。)
15.手もち式シャワーヘッド
<共有スペース>
16.段差のないアクセス
17.幅の広い通路(共用エリア入口までの道は幅81cm以上)
情報更新に伴い写真も増やしました。
では、なにに対応できてないのか?それもあわせて記載いたします。
【対応できなかった項目】
・広い廊下幅 (1階玄関前の廊下の幅が91cm以上。)
玄関前の廊下幅自体は余裕で91cm以上あるのですが、そもそも玄関の最大幅が87cmであること、またお部屋から共有スペースの間に85cmの幅の廊下が1か所あるため、対応できていないと判断しました。
・エレベーターあり
京町家なのでエレベーターはありません。これはどうしようもなーい!
・バスルーム 幅の広い間口(トイレ浴室の幅は81cm以上)
トイレは81cm以上の幅がありますが、浴室(正確には脱衣所の入口)の幅が72cmしかありません。これも家の構造的に対応が難しかったです。残念。
・バスチェア付きのお風呂
バスチェアはありません。ホステルなので、基本シャワーのみでお願いしております。長期ステイ希望の方が多くなれば必要かとは思いますが、現状不要の声多数のため置いてません。
以上です。
最後に、Airbnb(エアビーアンドビー)について。
Airbnbは「民泊」という宿屋にとってはた迷惑な言葉をつくってしまった張本人ではありますが、違法に人を泊めている人たちを摘発しようという姿勢はみせてくれているし、こんないいサービスも積極的に取り組んでくれているし、いいところもたくさんあるなと感じています。
Airbnbが問題というよりは、人としてのモラルの問題の方が大きい。
旅館業法を無視して人を泊めている人は、建築士の資格ももってないのに勝手に家を建て、宅建の資格もなしに家を売りさばいてるのと同じだと思います。だから「あなたも民泊やってるの?」と言われるとけっこう悲しいです。
予約してくれるお客さんはいい人たちばかりです。だからそんな人たちが、写真と価格の安さに釣られていやな思いや危険な目にあうようなことは、絶対にあってほしくない。
人を泊める仕事をするなら、同じ土俵にあがるなら、きちんとしてほしいと思わずにはいられません。
そして利用者のひとも、ちゃんと見る目をもちましょう。日本はふだんが安全すぎて危機意識が鈍感になります。
「あなたの大切な人を預けても大丈夫か。」という一言を、あたまのなかでフィルタリングしてください。
それからポチっと予約ボタンを押しましょう。
安全に楽しく旅をできる場所が、世界中にどんどん増えたらいいですね。
そんな社会をみんなでつくっていきましょー!