百年の旅を支える。

先日、フランスからお越しの車いすの方にお泊りいただきました。

 

<フランスはマルセイユからお越しのマダムたち。>

 

これまでひばりにお泊りいただいたお客さんの中で最長の、10泊!

彼女は片足が動きませんが、車いすということを感じさせないほどお元気。

 

部屋からは毎晩、壁を突き抜けて「イヒヒヒヒヒ!!」という魔女のような笑い声が聞こえてきていました。

「ギオン!イ~ナリ!イヒヒヒヒヒ!」

 

毎晩ふたりでなに話してるの?

「明日の旅程よぉ!話してるうちにワクワクしてくるのよ!イヒヒヒヒヒ!」

 

<お泊りいただいた庭付きスーペリアルーム。基本、ベッドはこのセッティングですが、>

 

<ベッドの向きこっちにできる?とご要望があり、くるっと移動。電動ベッドは重たいですが、しっかりしたキャスターがついてるので楽に変えられます。>

 

<「マットレスももうちょっと厚めだとありがたいのよぉ。足がフレームにあたっちゃって、あざできちゃう。」とのことで、厚いマットレスも追加。スイッチひとつで上下に動かせるので、ベッドが高くなっても簡単に移乗できます。>

 

<「この高さがぴったりだわぁ!」とのことで、急きょ椅子をテーブルに。家具がありすぎても邪魔になるので、なにをどこにどれだけ置くか、というのは常に考えています。お客さんの生活スタイルによって足したり減らしたりできるように、「軽い・小さい・そしてタフ(丈夫)」が家具選びのポイント。>

 

今回はご友人とふたり旅。

大学時代からのご友人とのこと。

「大学っていつよ?!30年前??40年前?!ヤバイわねぇ!孫はもう15歳よ!イヒヒヒヒヒヒ!!」

 

 

毎晩ごはんを食べながら今日行ったところについて話したり、故郷のマルセイユのことを聞いたり、店主も楽しい時間を過ごさせていただきました。

 

彼女は基本車いすですが、松葉杖を使えばすこしだけ歩くことができます。

そして自分で車も運転でき、関西空港でレンタカーを借り、旅行中は毎日自分で車を運転してでかけていました。

ご友人の方は歩けますが、運転するのは車いすの彼女の方。

「彼女は地図係よ!わたし地図読めないの!イヒヒヒヒヒ!!」

 

フランスに住んでるのに日本の、しかも交通量の多い大阪や京都を運転しちゃうのはすごいね、と言うと

「ロンドンに住んでたことあるから、左車線は慣れてるわ!でも自転車がこわいわぁ。若い子がビュッ!と左をすり抜けていくのよ。みえないのよ!轢きそうになっちゃうのよ!でもそういう子はだいたいイケてる子だったわ!イヒヒヒヒヒ!!」

 

<車いすマーク付きのレンタカー。後ろに車いすをスポッ!と入れれます。最近の軽自動車は省スペース化が進んでいて便利ですね。ひばりの駐車場は軽自動車なら2台駐車できちゃうくらい、ゆったりしています。>

 

車いすで旅するのは、歩くよりずっと体力をつかいます。いろいろ気をつけたり考えたり調べたりもしなければいけないので、精神的にも余計に疲れると思います。

 

しかし彼女たちは毎日夜まででかけているのにとても元気で、

「のんびり休憩する日なくて大丈夫??」と聞くと

 

「大丈夫よぉ!インド行ったときに比べれば全然マシよぉ!親戚の子がインド人と結婚してインドの結婚式に行ったんだけどすごかったわぁ!結婚式中ずっとみんな踊ってるし、次の日もパーティしてるし、3日後も、4日後も、1週間以上ずーっと祝ってるのよ!途中でマルセイユ帰ろうかと思ったわ!イヒヒヒヒヒ!」

 

彼女たちと毎日話しながら、自分も彼女たちのように、いくつになってもこんな風に自由に旅を楽しんでいたいなぁと思いました。

そして彼女たちの日々の会話の節々に、「ずっと人生を楽しんでいける秘訣」のようなものを感じました。

 

 

よく僕は「どうしてこういう(バリアフリーな)宿をやろうと思ったのか?」と聞かれますが、その大きな理由のひとつに

「旅行者を支え、そしてじぶんも支えてもらうことができるから」

という思いがあります。

 

僕は旅が好きなので、「旅することが難しい、ちょっと大変、でも行きたい」という人の力になれることがうれしい。やりがいがあります。

 

そしてまた、自分もずっと旅をしていたい。と思っています。が、これから先なにがあるかなんてわかりません。

 

たとえばもし僕が事故や病気で車いすになったとして

ひばりをはじめる前だったら、僕はどうしていいか、だれに相談すればいいかもわからなかった。

でもいまは、ひばりに関わってくれる人たちやお客さんの中で、頼れる人がたくさんできました。そういう意味で、僕も支えてもらっています。

 

「100歳になっても旅するぞぉ!イヒヒヒヒヒヒ!」

 

なんていう気概もわいてきます。それは間違いなく、彼女たちからもらったものです。

長く生きることが当たり前になりつつある社会。自然と怪我や病気と付き合う時間も長くなります。ネガティブな思考ではなく、現実問題として。

自分がならなかったとしても、家族や友人や自分にとって大切な人の生活が変わることは、十分ありえること。

 

そんないまの時代にとって、「ハンディのある方が旅をする。人生を楽しむ。」というのは、それだけで多くの人のお手本になり、希望になり、支えになることだと思います。

 

だからぜひ、旅することがちょっと難しい!でも行ってみたい!という思いをもっている方にはどんどん色んな場所に行ってほしいし、その手伝いができたらと思っています。

 

京都じゃなくてマルセイユに行ってみたい!そんなご相談もウエルカムです。

(完全に彼女頼みですが。イヒヒ!)

 

100年旅できる土台を、一緒につくっていきましょう!イヒヒヒヒヒ!

 

<最後の記念写真がまさかのどアップ。はじめて自撮り棒の必要性を感じました。>

 

 

メルシーボクウ、マダム! ア ビアント!

 

店主 

鎌塚 慶一郎

四人部屋のお知らせ

2018年5月より、女性専用ドミトリーを四名様の個室「四人部屋」へと変更致しました。

ひばりにはこれまでドミトリーのほか、シングルルーム、小さな離れとお1人様向けのお部屋は二室ありましたがご家族やグループ旅行様向けのお部屋がなく、多数のご要望をいただき、この度変更させていただくことになりました。

最大4名様までお泊りいただけますので、3名様以上のお泊りをご希望のお客様はぜひ「四人部屋」でのご滞在をご検討くださいませ。

またこれまでドミトリーをご利用いただきましたお客様は、今後は「シングルルーム」もしくは「小さな離れ」でのご滞在をご検討いただけましたら幸いです。

今後ともご愛顧を賜れますようよろしくお願い申し上げます。

 

平旅籠ひばり Hibarihostel

鎌塚 慶一郎

 

ひばりの階段

 

こんばんは、店主の鎌塚です。

 

先日、70歳の女性の方が2階にあるシングルルームに5泊してくださいました。

 

その女性はアメリカ在住の日本人の方で、ご主人はいるけど「ひとりで気ままに旅する時間が必要なの。」という方で

いくつになっても若々しく、すてきやなぁ。自分も70になってもこんな風に旅していたいなぁ、と思いながら、その方が宿で過ごされる様子をみていました。

 

ほとんどのことはなに不自由なく過ごされているようにみえましたが、唯一気になったのが「階段の上り降り」。

 

とてもお元気そうにみえてはいても、足腰はすこしわるくなられているようで、一段一段ゆっくり上がって、またしっかり手すりを握って降りていました。

 

その様子をみて、僕はこの階段をつくって本当によかったと思いました。

 

ひばりの階段は「一段の高さ:20cm、奥ゆき:23センチ」と京町家の階段としてはだいぶ緩めに設計しています。古い町家の階段は押入れのスペースをつかって取ってつけたような勾配のきついものが多く、ひばりの改修前の状態も非常に急で、せまく、上りにくい階段でした。

 

<改修前の階段。階段というよりはしご。上るという這い上がる。降りるというよりお、落ちるー!というような怖い階段でした。>

 

 

<現在のひばりの階段。勾配は緩く、さらに足触りのいい「滑り止め」として名栗(なぐり)”風”に加工しています。>

 

 

 

 

ゆっくりでも、ちょっとしんどくても、自分の足で上る。自分の足で降りる。これはとても大事なことだと思います。

当たり前のことですが、体の使わない部分は衰えます。筋力はどんどん低下します。

 

歩くこと、自分の手足を動かすこと。いくつになっても健康で、旅を楽しみ、そして人生を楽しんでいくには、日々の心がけが大事なんやなぁとあらためて思いました。

 

足がわるくて2階に泊まるのはちょっと自信がない、という人も、ぜひトライしてみてください。

いいトレーニングになるように、できる限りサポートします。もちろん荷物の上げ下げもします。

 

シャワールームは1階のみですが、洗面台とトイレは2階にもありますので、お出かけの際、シャワーの際、あとキッチンをお使いになられたいとき以外は、階段を上り下りする必要はありません。

 

「だれでも、どこでも、いつまでも旅をし、豊かな人生を。」がひばりのスローガンです。

 

いくつになっても旅を楽しめる健康づくりに、一緒に取り組んでいきたいと思っていますので、ぜひお気軽にご連絡くださいね!

 

どうぞよろしくお願い致します。

 

 

等しくわかちあえるデザイン

 

宿泊予約サイトAirbnbが先日、「障害者の方向けに21種類のフィルタリング(項目)」を追加しました。

記事「Airbnbが障害者向けに21種類のフィルタリングを追加 世界人口の約15%にあたる10億人が対象。」

 

ひばりは全21種類中17種類に対応していたため、あらたに情報を更新しました。

情報を更新しながら、あらためて「障害」ってその人の問題というよりは、環境の問題だなぁと感じました。

人が障害を「もっている」というより、環境に「もたされている」といってもいいかもしれません。

 

私自身旅行中に右膝を痛め、杖をついてヒーヒー言いながら旅行をしたことがあります。

そのときは自分に障害があるとは思わず、「なんだこのおしゃれな段差は!どうせ上がってから下がるのになんでこんなもんあるんだ?」と環境をうらんだりしました。しかも、こういうことは現場に行かなければわからないことが多い。なにからなにまで事前に確認しなきゃいけないのはとてもストレスフルだし、言語の違う外国となるとさらにハードルが上がります。これでは旅をする気になれなくなっても仕方ありません。

 

<美しい階段。でも手すりない。ゆるやかなだけましだけど、膝いたい。。。>

 

もちろん、なにもかも平坦ではつまらない景色になるし、空間を区切ること、起伏があることで陰影ができたりという考え方も、とても重要です。古きよき景観を守るのもとても大事。(単純に平坦だったらいいわけでもない。目の見えない人にとったら凹凸のない道は恐怖でしょう)

ただ重要だからこそ、美しいものだからこそ、等しくわかちあえるような配慮もデザインのなかに組み込まれてほしいと願わずにはいられません。それでこそパーフェクトなデザインと言えるのではないでしょうか。

 

「障害者」という言葉だって、社会や環境のシステムがちゃんと整っていれば「障害者」とわざわざ人として区別する必要もない。むしろ「場」に障害をつけて「障害場」とかにすればいい。

「ここは足がわるいひとや小さい子どものことを考えてない不配慮な場所ですよ」という看板やレッテルをつけられるのはみんなイヤだと思いますし、そうなればそれぞれ工夫していい環境をつくれるように自然と変わっていけるんじゃないかなぁと考えたりします。遺跡や寺院だって、アイデア次第でちょっとずつでも、よりよく変えられるはず。

 

今回私たちはこんな場所で「バリアフリー対応してますよ!」とアピールのようなことを言ってますが、本当はそんなアピールする必要のない社会であるのが理想です。私たちの存在が埋もれるような社会になればいい。そう思います。(じゃあ私たちの存在意義はなにになるのかって?そんなことは社会が変わってから考えます。)

 

このフィルタリングだって必要なくなればいいのになぁ、と思いながら入力しました。

でもいまは必要なものなので、詳しい内容を紹介します。

対応している設備内容は、以下の通りです。

 

<入室項目>

1.段差のないバリアフリー対応

2.間口の広い出入り口(玄関の間口は幅81cm以上)

3.玄関アプローチが平坦(玄関までの通路幅は81cm以上、平坦で傾斜はほとんどない)

4.玄関アプローチに照明あり

5.車いすマークの駐車場(幅2.5m以上の駐車場)

<ベッドルーム>

6.段差のないアクセス

7.寝室に広いスペースあり(81cm以上の空き)

8.幅の広い間口(寝室のドアは幅81cm以上)

9.車いすに移乗できる高さのベッド(床からマットレス上辺まで48~58cm)

<バスルーム>

10.段差のないアクセス

11.手すり付きのシャワーとトイレ

12.車いすから移乗できる高さのトイレ(便座の高さは床から43cm~48cm)

13.チェア付きのシャワールーム(シャワーまで床が平坦につながっており、シャワーベンチやチェアに移動できる)

14.シャワーとトイレに広いスペースあり(トイレもシャワーも、ドアから81cm以上の空きスペースあり。)

15.手もち式シャワーヘッド

<共有スペース>

16.段差のないアクセス

17.幅の広い通路(共用エリア入口までの道は幅81cm以上)

 

情報更新に伴い写真も増やしました。

 

では、なにに対応できてないのか?それもあわせて記載いたします。

【対応できなかった項目】

広い廊下幅 (1階玄関前の廊下の幅が91cm以上。)

玄関前の廊下幅自体は余裕で91cm以上あるのですが、そもそも玄関の最大幅が87cmであること、またお部屋から共有スペースの間に85cmの幅の廊下が1か所あるため、対応できていないと判断しました。

・エレベーターあり

京町家なのでエレベーターはありません。これはどうしようもなーい!

・バスルーム 幅の広い間口(トイレ浴室の幅は81cm以上)

トイレは81cm以上の幅がありますが、浴室(正確には脱衣所の入口)の幅が72cmしかありません。これも家の構造的に対応が難しかったです。残念。

・バスチェア付きのお風呂

バスチェアはありません。ホステルなので、基本シャワーのみでお願いしております。長期ステイ希望の方が多くなれば必要かとは思いますが、現状不要の声多数のため置いてません。

 

以上です。

 

最後に、Airbnb(エアビーアンドビー)について。

 

Airbnbは「民泊」という宿屋にとってはた迷惑な言葉をつくってしまった張本人ではありますが、違法に人を泊めている人たちを摘発しようという姿勢はみせてくれているし、こんないいサービスも積極的に取り組んでくれているし、いいところもたくさんあるなと感じています。

 

Airbnbが問題というよりは、人としてのモラルの問題の方が大きい。

旅館業法を無視して人を泊めている人は、建築士の資格ももってないのに勝手に家を建て、宅建の資格もなしに家を売りさばいてるのと同じだと思います。だから「あなたも民泊やってるの?」と言われるとけっこう悲しいです。

予約してくれるお客さんはいい人たちばかりです。だからそんな人たちが、写真と価格の安さに釣られていやな思いや危険な目にあうようなことは、絶対にあってほしくない。

人を泊める仕事をするなら、同じ土俵にあがるなら、きちんとしてほしいと思わずにはいられません。

 

そして利用者のひとも、ちゃんと見る目をもちましょう。日本はふだんが安全すぎて危機意識が鈍感になります。

「あなたの大切な人を預けても大丈夫か。」という一言を、あたまのなかでフィルタリングしてください。

それからポチっと予約ボタンを押しましょう。

 

安全に楽しく旅をできる場所が、世界中にどんどん増えたらいいですね。

そんな社会をみんなでつくっていきましょー!

ひばりのお庭ライトアップ

こんばんは、店主の鎌塚です。

 

11月も、ついに最終日となってしまいました。

 

今年は例年より紅葉のはじまりが少し早かったので、北の方はそろそろ見ごろが終わりつつあります。

そのため、「12月はもう紅葉を楽しめないですか?」というお問い合わせもございますが、ご安心ください。

ひばりのある南エリアは、まだまだ紅葉をお楽しみいただけます。

 

お寺さんの紅葉のライトアップも、長いところで12月10日までやっています。

そしてそのあとは、クリスマスのイルミネーションイベント。

紅葉ライトアップからイルミネーションと、12月は灯りに彩られる夜の京都を楽しむことができます。

 

そしてひばりのお庭でも、日暮れから夜9時までライトアップをしております!

ということで、本日はひばりの夜のお庭をちょこっとご紹介。

 

まずは、外観から前庭へ。

 

 

 

  

 

 

女性ドミトリーの窓からは、前庭を上からご覧いただけます。

 

 

ひばり唯一の専用庭付きのお部屋、スーペリアルームのライトアップはこちら。

 

 

 

 

 

 

こちらは特に、灯りによる陰影がとてもきれいです。

 

寒くなって歩くのにも疲れたら、早々にお帰りになって、珈琲でも飲みながらひばりのお庭をゆっくりご覧いただくのもおすすめです。

 

12月は灯りあふれる夜の京都を、どうぞお楽しみください。

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