こんにちは、店主の鎌塚です。
本日8月1日は
イギリスでは化学者ジョゼフ・プリーストリーが酸素を発見し
オランダではアンネ・フランクが最後の日記を書き
スイスではスイスが建国され
京都ではひばりが開業されました。
沖縄では「パ(8)イ(1)ン」の語呂合わせで「パインの日」に認定され
グリコ乳業は「カフェオレの日」と制定し
そんなわけで本日の店主はカットされたパイナップルを食べ、
コーヒーにミルクを混ぜたもの(あるいはミルクにコーヒーを混ぜたもの)を飲みながら
一周年という小さくも確かな幸せをかみしめています。
*小確幸(ショウカッコウ) * A Small, Good Things
「生活の中に個人的な『小確幸』を見出すためには、多かれ少なかれ自己規制みたいなものが必要とされる。たとえば我慢して激しく運動した後に飲むきりきり冷えたビールみたいなもので、『うーん、そうだ、これだ』と一人で目を閉じて思わずつぶやいてしまうような感興、それがなんといっても『小確幸』の醍醐味である。」
という村上春樹氏の造語を、口の中にひろがるパインと一緒に味わっています。
なんだか今日は酸素までおいしく感じられます。
自己規制をしているつもりはなくても、宿屋は基本的に365日24時間営業なので、一年という月日が過ぎただけでもなんだか『うーん、まぁ、がんばったか』と心の中でつぶやく瞬間があったり、なかったり。
(厳密には休みをとったり昼寝したりしてるので、そのことを思い出すと「いやぁ、ちょっと、まだまだ」とつぶやきは上書きされます。自動的に。)
今年の「小確幸」な思いでのひとつに
「ここはカフェオレみたいね。」
とお客さんに言っていただいたことがあります。
ひばりはバリアフリーですが、基本的にはすべて共用です。
ふつうのところではちょっとありえないのでしょうが、個室の中にトイレやシャワーはありません。
障害のあるなし関係なく、お客さんには多くの設備をシェアしていただいています。
日本では”バリアフリー対応”の場所の多くが
「それを必要とする人たち”だけ”の場所」としてつくられていることが多く、
自然と「必要とする人」と「必要でない人」の生活の動線がわけられがちになっています。
(もちろん、これはわるいことではありません。そういう弊害もあるというはなしです。)
ひばりでは限られた設備を共有していただいているので、みんなが同じ空間にいます。
日本人も外国人も、小さい子もお年寄りも、バリアフリーを必要とする人も、そうでない人も。
そのお客さんはそんな景色をみて、
ミルクとコーヒーが混ざった「カフェオレ」みたいだと思われたそうです。
「牛乳の日」の6月1日と、「コーヒーの日」の10月1日のちょうど真ん中をとって定められた8月1日、「カフェオレの日」。
開業の日と重なったのは、ちょっと象徴的な偶然ですね。
と、そんな素敵な言い方をしたところで、バリアフリーが必要な方にとって
プライベートに使えるトイレやシャワーがないというのは、けっこう大変なことだと思います。
しかしだからといって「個室オンリー」だと、
結局バリアフリーにしない(つまりはバリアフリーじゃないんでごめんなさいねと言ってすませる)
という世の中になってしまうような気がします。実際、まだまだ少ないわけですし。
それに旅先では、ある程度そこの環境に順応する”ちから”がなくてはいけません。
完璧なバリアフリーは存在しません。
僕たちは、旅をすることで自然と、”生きていくうえで必要なちから”を身につけてほしい。
ときにイヤな思いをしたり、不便を強いられることがあるかもしれないけれど、その先にある可能性を広げていってほしい。
それがあなたにとっての、「小確幸」。小さくも確かな幸せにつながっていくと信じてほしい。
そしてそうやってがんばっている人がいることも、多くの人に知ってほしい。
そんな思いでひばりをやっていたら、自然とカフェオレみたいになりました。
本日、小さい宿ながら多くの方に支えられ、一周年を迎えられました。
本当にありがとうございます。
京都を旅し、ひばりを訪れてくださる方、関わってくださるみなさんにとって、小さくも確かな幸せを感じられる場所であれるよう、これからもがんばりたいと思います。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
平旅籠ひばり Hibarihostel
鎌塚 慶一郎