だれも困らない混沌

 

あけましておめでとうございます!

新年と同時に!というわけではなくちょっと前から変わってたのですが、ホームページを少しリニューアルしました。

開業から3年経ち、すこしずつ店が変化した分だけデザインも変わりました。
言葉も変わってますが、根っこは変わりません。

おいぃ、屋号変わっとるやんけ!と思われたかもしれませんが変わってません。

前もどこかで書きましたが、「本」にみえるこのロゴ文字は「平」の旧字体です。

屋号は変わらず「平旅籠(ひらはたご)」。

本のある宿(旅籠)やから本旅籠(ほんはたご)でも別に間違ってはないので、お電話で「本旅籠ですか?」と聞かれたら「はい!」って元気よく返事します。

こちらからのお電話はもちろん「平旅籠ひばりです。」と言います

「ヒラハタゴヒバリです。」すら一回で聞き取ってもらえない日がはじまって早3年、さらに難易度が上がりました。

わかりやすさ推奨社会にドロップキック。

ややこしい!でも世の中はもっと混沌としています。
うちの屋号レベルのカオスはかわいいもんです。

観光地でもない場所で
わかりにくい店名で
混沌推奨思考の店主が

平凡に、平穏に、ときどき昼から地面と平行になりながらお待ちしております。

平々本々 HeyHeyBonBon

というわけで(どういうわけで?)

本年もどうぞよろしくお願い致します。

 

2020年のおわりに

 

旅先でみる日常が好きです。

 

平凡なアパートや電柱の貼り紙すらおもしろく

 

公園を散歩したり本屋をのぞいたり、スーパーマーケットをぶらつくだけで満ち足りた気分になれる。

 

自分の生活圏にはない、旅先で暮らす人たちの中にある日常を垣間見たい。

 

それが旅をしたい欲求にかられる理由のひとつです。

民宿やホステル・ゲストハウススタイルの宿のいいところは、生活の延長に近い形であることだと思います。

 

大きなホステルはビルみたいな建物ですが、ふつうの家を改装してるところもたくさんあり

 

僕は特に外国の日常をみるのが好きだったので、自分も外国の人たちがこの国の日常を感じられるような、家のような宿をやりたいと思いひばりをつくりました。

 

日常の中の非日常を求める人たちが来ることができなくなってから、もうすぐ一年が経とうとしています。

 

宿は遠い場所にいる方々のための店であり、近くに住む方々のお役にはあまり立てないスタイルであるにもかかわらず、今年は近所の方々に本当にたくさんお世話になりました。

 

これまでの日常がどれだけの人たちの支えで成り立っていたのかを気づかされた一年であり

またいまの非日常をどれだけの人がギリギリのところで支えているかを思う一年でした。

 

これまでも、そしていまも感謝しかありません。本当にありがとうございます。

日常はいつもどるのか、だれにもわかりません。

 

いまの非日常がしばらく続いて、いつの日かそのまま日常となっていくのかもしれません。

 

日常がゆるやかに変化するように、ひばりもすこしずつ変わっていくかもしれませんが

 

中身はきっとなにも変わりません。

 

運営する僕自身はなにも変わりません。

 

こんな状況になってもやっぱり旅が好きだし

 

幕府の目を盗んで京都に潜入してた幕末の維新志士たちも、案外こんな状況だったのかもしれないなぁなんて思って

 

だれにも迷惑かけずに旅を楽しむ方法ってないかなと考えたり、なんだかんだ楽しんでいます。

 

旅先の日常をみる目で、近所の非日常をみて

 

おもしろおかしく、ひとにやさしく、健康第一でこれまで通りやっていきたいと思います。

 

2021年も、どうぞよろしくお願い致します。

 

それではみなさま、よいお年を。

 

平旅籠ひばり Hibari Hostel & Books

鎌塚 慶一郎

花と珈琲

 

昨年の10月、子どもが生まれるのと同時に珈琲豆の焙煎をはじめて

 

今年の3月、はじめて対価をもらって珈琲豆を販売しました。

 

「山」・「谷」と題した、2種類だけだった珈琲豆はいまは8種類になり

 

この12月は新作の珈琲豆「花」のリリース記念に、「花と珈琲」という珈琲豆と花束のセットの予約販売を行いました。

 

いま、その準備の真っ最中です。

 

 

花に触れる機会が増え、花のことを考える時間も増え、花のもつ力というものを実感する毎日です。

 

『祝いの時も不幸の時も贈ることができるのは「生花」と「フルーツ」だけ。』という文章を読み、

そういうものを扱う仕事は素晴らしくいいな、とうらやましく思いました。

珈琲豆も果実といえば果実ですが、ちょっと違いますよね。

 

 

いつから珈琲を好きになったのか、よく覚えていません。

 

いつの間にか人の庭に勝手に居着いたノラ猫みたいに

 

気づけば日常に溶け込んでいました。

 

どうして好きなのかも、よくわかりません。

 

地球にはじめてきた宇宙人に、なにか美味しい飲み物ちょうだい

 

と言われて珈琲出したら、殴られるかもよ?

 

とある有名な焙煎士の方が仰られていましたが、僕もそう思います。

 

生搾りオレンジジュースの方がいいでしょう。

 

そう思いながら、僕は毎朝珈琲を飲みます。

 

飲まない日は非日常と言えるほど、僕の日常に溶け込んだ珈琲。

 

 

 

先月、11月の終わり。母方の祖母が末期の肝臓がんであることを知らされました。

 

もう年は越せないかもしれないと言われ、翌週の12月はじめに1歳の息子を抱え2人で会いにいきました。

 

1日中眠って意識がない日もあるから、来てもらっても徒労に終わるかもかもしれないとのことでしたが

 

子どもが生まれてまもなく、世の中はこんな状況になって

 

祖母は施設に入っていたため面会制限があり、一度も会わせる機会がありませんでした。

 

緩和ケア病棟に移ったいま、1日3名まで。時間は30分。それが僕たちに与えられた最後の機会でした。

 

ほとんど眠っていましたがほんの少しだけ起きて、息子の顔をみてはっきり「かわいい」と言って、笑顔をみせてくれました。

 

用意した花束を見れたかはわかりませんが、殺風景だった病室に彩りが加わりました。

次に起きたとき気づいてもらえるよう、ベッドの隣に花を置き、家路に着いて

 

僕はその日の朝も珈琲を飲み

 

帰宅してからも珈琲を飲みました。

 

味は変わらない。

 

 

 

そして3日前、祖母は亡くなりました。

 

急きょ店を閉め、家族で実家へ。

 

親族だけのささやかな葬儀の中

 

僕は祖母を包む花々を美しいと思い

 

通夜が明けた朝も珈琲を飲んでおいしいと思い

 

葬儀が終わり京都に戻って、花と珈琲を用意する準備をしながら

 

 

花を美しい、珈琲をおいしいと思えるうちは

 

僕は大丈夫だろう、と思いました。

 

そんな風に人々の日常に溶け込み支えているものは、きっとたくさんあります。

 

それは家の灯りだったり

 

カレーの匂いだったり

 

猫のお腹だったり

 

 

そういうものがひとつでも残っていれば、前を向いて生きていける。そんな気がします。

 

この珈琲豆もいつか、誰かにとってありふれた日常のひとつになれるよう

 

祝いのときも不幸のときも、変わらず飲めるものであれるよう

 

からだが動く限り、つくり続けたいと思います。

 

自分と、家族のために。

 

 

スタイって”したい”だ。

こんにちは、店主の鎌塚です。

 

子どもが生まれて、早4ヶ月が経ちました。

世の中はまだ混乱の真っただ中ですが、我が家はようやくすこし落ち着きがみえてきました。

 

初めての子どもとあって、無事産まれてくれた喜びから一転、

ちゃんと育てられるだろうかと夫婦そろって緊張の毎日を過ごしており、

育児を楽しむ余裕はあまりなく、不安に思う時間のほうが多かったと思います。

 

しかし先月頃から首もすわって、毎日笑顔をみせてくれるようになり

順調に体重も増えていることを確認し、最近ようやく子どもと過ごす日々を心から楽しめるようになってきました。

 

先日実家に帰り、両親に子どもを見せたところ

「あんたの赤ちゃんの頃にそっくり」と言われ、

むかしの写真をひっぱりだしてみてみると、驚くほど似てました。

 

【左:店主 右:天使】

 

 

髪の毛ボーボーなところまでそっくり。

天使のようにかわいい息子。

天使のようにかわいい店主。

 

この写真をみてから自分と息子をよく重ねあわせ、妻に怒られても「なんでこんなにかわいい自分に怒っているんだろう?」と思ってしまい、あまりピンときません。

 

息子のよだれはかわいいけれど、私のよだれはかわいくない。

息子のよだれはコーヒーに入ってもいいけど、私のよだれはコーヒーに入ってはならない。

 

そう話す妻の言葉がピンときません。なにが違うのだろう?どう違うんでしょう?だれか教えてください。

 

そうそう、それはさておきよだれと言えば、この2月よりひばりのとなりの本屋・旅耕社で「スタイ(よだれかけ)」の取り扱いがはじまりました!

 

【”読書”スタイ】

 

 

 

【”夢”スタイ】

 

 

 

本好きの方の出産祝いにぴったりの”読書”スタイ。

そして「あれもしたい、これもしたい、もっとしたいもっともっとしたい~!」という

我が子から聞こえてくる心の叫びを、今も色褪せぬ懐かしい音楽にのせて表現した当店オリジナルオーダースタイ。

どちらも京都在住の刺繍作家・風子さんのハンドメイド一点モノです。

 

日々よだれを垂らし、様々なものを口で濡らす我が子。

その濡れ跡をみて、これは人間の純粋な欲の跡だなぁ、と思いました。

なにをしたいのかはわかりませんが、なにかをしたいということだけははっきりわかる。

 

スタイにつく跡は、したいという欲の跡。

生きたいという気持ちの跡。

スタイって、”したい”だ。

 

そんな思いを込めて、お店に置いています。

出産祝いの贈り物にぜひおひとつ、いかがでしょうか。

 

【あれもこれももっともっとしたい人】

 

ひばり店主

むかしは季節が四つあったんだよ。

 

 

こんにちは、店主の鎌塚です。

 

今年は全国的に暖冬で、京都も冬とは思えぬ暖かさ。

はやくも梅の花が咲きだしています。

 

寒さに弱い私ですが、残念ながらこの暖かさをまったく喜ぶことができません。

地球は温暖化に拍車がかかり、今年の夏はいったいどれだけ暑くなるのか、どれだけ台風は大きくなり、どれだけの被害がでてしまうのか。異常な気候変動に、不安な思いが募るばかりです。

 

日本が冬のときに夏にあたる南半球、オーストラリアでは観測史上最大の高気温・乾燥となっており、昨年9月に発生した森林火災がいまだ収束に至らないという異常事態が起こっています。

 

日本国土の4分の1に匹敵する面積が焼け、

28人の方々が亡くなられ、

10億を超える動物が犠牲になっています。

 

個人的なことですが、私が初めて訪れた外国はオーストラリアでした。

日本とはまったく違う景色、文化、動植物に触れ、そのときの感動がいまこうして宿を営んでいることにつながっています。

 

ひばりにも毎年多くのオーストラリア人旅行者が利用してくださり、

館内や庭にもオーストラリア産植物を多く置いていて

「あれ、これオーストラリアのじゃない?!」と気付いて喜んでくださるたび、こちらも嬉しくなります。

 

しかしこの文章を書いているいまもオーストラリアでは森林火災により甚大な被害が進んでいるということを考えると、とても胸が痛みます。

 

ひばりととなりの本屋・旅耕社で行っている寄付活動「キフ珈琲」では、当月の利益をオーストラリアの動物救護団体WIRES Wildlife Rescue に寄付することを決定し、ひばりもキフ珈琲の活動を通じてわずかではありますが寄付することを決めました。

 

ひとりひとりができることはほんのわずかではありますが、寄付による協力に留まらず、自身の日々の生活においても環境に対する責任を忘れないようにしたいと、あらためて襟を正して暮らしていこうと思っています。

 

寒くて寒くて、春が待ち遠しい。

 

京都の冬は、それでいいのではないでしょうか。

 

「むかしは季節が四つあったんだよ。」と言われる日が来ないよう

 

これからもできることをやっていきたいと思います。

 

ひばり店主

鎌塚

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